イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「……はい、藤沢です」
『羽根木です。結月ちゃん、今どこにいる?』
「渋谷のカフェにいますけど、羽根木さんどうかしたんですか?」
どうしたんだろう。なんだかいつもの羽根木さんと違う気がする。
まるで怒ってるみたいな、少し低めの声。
『会社の近くでしょ。たぶんわかったと思う。そこ絶対に動かないで』
「えっ、ちょっと羽根木さん!?」
私が呼び止めるのも構わず、羽根木さんはさっさと電話を切ってしまった。
羽根木さん、確か「会社の近く」って言ってた。
私から羽根木さんに会社の話なんてしたことないはずなのに、どうして知ってるんだろう。
「失礼いたします。藤沢結月さまでしょうか」
ちょうどカフェオレを飲み終えたタイミングで、誰かに肩を叩かれた。
「そうですけど……、あなたは?」
振り返ると、羽根木さんではない男性が立っていた。