イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
葛城さんに背中を押され、詰めていた息を吐き出して楽屋の中に一歩足を踏み入れた。
おそるおそる顔を上げると、ソファーに座ったまま何かを咎めるような視線で私を見る羽根木さんと目が合った。
今日の羽根木さんは、明るめの青の着物に縞袴姿。清潔感もありテレビ映えしそうだ。
あまりの素敵さについ見惚れてしまう。
「こんなところにまで呼び立てちゃってごめんね」
「あっ、いえ」
「とりあえずこっち座りなよ」
ソファーから立ち上がると、ぼけっと突っ立ったままの私に、向かい側に座るよう促した。
私が座るのを見届けて、葛城さんは静かに楽屋の外へ出て行く。
「……失礼します」
軽くお辞儀をして、ソファーに腰掛けた。
口調は柔らかいけれど、羽根木さんの表情は厳しい。
やっぱり羽根木さん、何か怒ってるんだろうか?
原因がさっぱりわからない私は、戸惑いつつ羽根木さんの顔をうかがった。