イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
口ではそう言いいながらも、つい視線は泳いでしまう。
いくら最近は売り手市場だとは言っていても、新入社員が入ったばかりのこの時期に、そうそう再就職先なんてみつからないだろう。
私だって、本当は不安で仕方がない。
「結月ちゃん、それ本気で言ってる?」
さらに低くなった羽根木さんの声に驚いて、弾かれたように顔を上げた。
眉間にしわを寄せ、不機嫌そうな顔で私を見ている。
「俺、ちゃんと言ったよね? 困ったことがあったら真っ先に頼ってって」
「確かに、そうおっしゃってましたけど……」
「どうしてすぐ俺に連絡してこないの」
まさか、羽根木さんの不機嫌の原因ってそこ?
「どうしてって言われても……」
正直言って、こんなことになって羽根木さんの言葉を思い出さなかったわけじゃない。
でも、さすがに出会ったばかりの人にこんなこと相談できるわけがない。