イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「なに?」
話を遮った私を、羽根木さんは不思議そうに見た。
「その、困ります私」
「どうして?」
「どうしてって、私いけばなのことなんて何もわからないですし。それに、出会ったばかりの羽根木さんにそこまでご迷惑をおかけするわけには……」
そう言って視線を落とす私に向かって、羽根木さんはまたはぁーと長いため息を吐く。
「圭吾さんのこともあって時間も限られてるんだし、就職活動するにしても学生の頃みたいにはいかないでしょ。そんなこと言ってる場合じゃないんじゃない?」
私がすんなり「はい」と言うとでも思っていたのだろうか。
彼の苛立ちが、ぴりぴりと伝わって来る。
「それに俺は、君になんの知識もないのにいきなり助手になれって言ってるわけじゃないよ。いけばなのこと以外にも雑務は色々あるんだ。まずはそれを手伝ってほしいって言ってるわけで」