イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「そういや藤沢さ、今回の作品どう思う?」
飲み終えたお茶のペットボトルを手渡しながら、羽根木さんが訊いてくる。
「えっ、作品ですか?」
急な話題転換に、ちょっと焦ってしまう。
「えーっと、お家元が流木にお花を活けるとモノクロの世界に新しい命が芽吹くみたいで、見ていてワクワクします」
いけばなの基本すらわかってない私のコメントなんて、たぶんこれ以上にないほど稚拙なものだったと思う。
しどろもどろになりながら、でも精一杯言葉を尽くして自分が感じたことを伝えると、羽根木さんは弾けるような笑顔を見せた。
「ワクワクする、か。いいね」
「うわっ!」
羽根木さんがいきなり持っていたタオルを私の頭にかけたかと思うと、タオルごと私の頭をぐしゃぐしゃにした。
その瞬間をばっちり見られていたらしい。奥の女性スタッフたちから、今度は悲鳴のような声が響いた。