イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「結月は、俺に両親がいないことに気づいてた?」

「はっきりとは……。でも、そうなのかなとは思ってました」


 香月流について調べた時、現家元である智明さんと、先代のおじいさんの情報しか出てこなくて、おかしいなとは思っていた。

 本来ならば、智明さんのお父さんがまず家元を継承するはず。継承権を智明さんに譲ったのだとしても、香月流ほど大きな流派でありながら先代の実の息子であるお父さんについての記録が何も出てこないのはおかしい。


「俺の父は研究者だった。圭吾さん……結月のお父さんとは大学の同僚だったんだ。かなり親しくしていたと圭吾さんから聞いているよ」

「……そうだったんですか」

 たまたまなのか、何か父に思うところがあったのか。

 今となってはわからないが、智明さんのお父さんのことをこれまで父の口から聞いたことはなかった。

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