イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「……智明さんは香月流を継ぐことを迷わなかったんですか」

 お父さんがそうだったように、智明さんにとってもおじいさんや香月流の存在は重圧だったんじゃないんだろうか。

 智明さんは華道の他に心惹かれるものに出会わなかったのかな。


「祖父の気持ちもわかるから。老い先短いのに、俺まで香月流を投げ出しちゃったら可哀想だろ?」

「ちょっと、智明さん!」

 あ、いつもの智明さんが戻って来た。ちょっとホッとする。

 つらい過去があっても、支えてくれる人がいて自分の中で昇華できるくらい時間が経てば、人は前を向けるのかもしれない。


「それに、俺やっぱりいけばなが好きなんだ。これ以外の道は考えられない」


 智明さんの口調はきっぱりとしていて、香月流を守っていくということは智明さんの中では揺るがないことなんだなとわかった。

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