イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

 二人で父におやすみを言い、病室を出た。


「家まで送ってくよ」

「すみません、甘えます」

 思っていた以上に長い時間話し込んでいたらしい。病院の外に出ると、辺りはもう真っ暗になっていた。


「どうぞ」

「ありがとうございます」

 ドアの開け方はもう覚えたのに、智明さんは私を助手席へとエスコートしてくれる。


 こういう紳士的な振る舞いって、もう智明さんの中に染みついていて自然に出て来るものなんだろうな。

 そのことがわかって私も肩の力が抜け、智明さんに素直に甘えようという気持ちになっている。もちろん、高額なプレゼントは断るけど。


「そういえば結月は覚えてないみたいだけど、俺圭吾さんに連れられて結月の家に遊びに行ったこともあるんだよ」

 車が走り出してしばらく経ったころ、智明さんが突然そう口にした。

「えっ、うちにですか?」

「うん、確か結月が学校に上がるか上がらないかくらいの頃だったかな」


 そんなことあったっけ? でもどうして私、覚えてないんだろう。

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