※「触るな」って言ってるのに、彼には伝わらないようです。


「相変わらず冷たいなぁ。」


後ろからそう声が聞こえてるけど、構わず歩く。


「っつ!」


急に腕を掴まれたせいで、ふらつくあたしを「おっと。」と、支える男。


「もう!離してよ!触んないで!!」


「ごめんって。でも足、ふらついてるから。人通りもないし暗いから送ってくよ。」



「結構です!!」



腕を振り払おうとしてんのに、ビクともしない。
…だから男は嫌いだ。
力では敵わない。


…なんかもう疲れた。


諦めたように急に力を抜いたあたしの顔を覗き込むように男が見る。


「…ごめん。そんな顔しないで。でも本当に危ないから、送らせて?」


「…。」


抵抗することをやめたあたしに申し訳なさそうな顔をするけど、だったら最初からあたしに構わないでほしい。


「あんたが1番危ないヤツだと思うんだけど。」


呟いたあたしの声が、聞こえたようで「ぶっ!」っと動揺したように吹く。


「とりあえず、今日は何もしない。約束する。」


腕からあたしの手に触れて、ふわっと優しく握られた。


「…今日は何もしないって、何もしない男はそんな事言わないのよ。」


その呟きに、男は反応しなかったけれど、代わりに優しく手を引っ張って、近くの駐車場まで連れてかれた。


「とりあえず乗って?家まで案内よろしくね。」


助手席のドアを開けて、そう言った男に、頷いて乗り込んだ。
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