独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

「きゃっ……」
「ただいま」
「と、智也さん! いつの間に!? おかえりなさい!」

 驚いて慌てている様子が愛おしくて、思わず詩織の唇に口づけた。

「……ん!」

 柔らかい彼女の唇。軽く何度か触れ合ったあと、顔を離して照れている表情を見るのがたまらない。

「……もう。驚かさないでください」
「驚かしていないよ。ちゃんと声をかけた。詩織が全然気がつかないから」

 ピンク色に染まる頬は、マシュマロみたいに柔らかそうで甘そう。
どこもかしこも可愛くて、気を抜いたら顔が緩んでしまいそうになる。

 こんなふうに思っていると知ったら、絶対引くよな。
想いの比重が違いすぎて困らせるに違いない。それでなくても今でも抑えているつもりが漏れてしまっていると思う。


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