独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「お父様も来てください。お願いします……!」
私の呼びかけに反応はなかった。
高橋さんのお父さんの背中が小さくなるまで、私はその場から離れられずにいた。
高橋さん、どうなるんだろう……。
このまま結婚式は中止になるのかな。せっかく高橋さんのためだけにデザインされたドレスも完成したというのに。
式場も押えたし、料理だって決めた。もうあと少しで本番ってところでこんなトラブルになってしまった。
「佐々木さん、大丈夫だった?」
ショップの前まで戻ってくると、心配してくれた槙野さんが外まで迎えにきてくれた。
「新婦のお父さま、まだお許しになっていないのね」
「そうみたいです。当日も行かないと言われていました」
槙野さんは肩を落とす私に「元気だして」と励ましてくれた。
「ありがとうございます」
「新婦さんのフォローをしてあげないとね。きっと落ち込んでいるだろうし」