独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
何を言っているの、お兄ちゃん。
言葉を区切ってゆっくり言われても理解できないよ。
「ちょっと待って。何をいきなり……」
「悪いな、詩織。藤崎家のために頼むよ」
直樹だけでなく、晴樹まで私のデスクに近寄ってきた。
二人の表情からするに、冗談ではなさそうな雰囲気。
嘘でしょ? 嘘だよね……?
「や、やだなぁ。お兄ちゃんズ、私をからかわないでよ~」
「詩織、こういうお願いするとき、うちら嘘言ったことないよね?」
そ、そうだけども。
二人が会社を設立して手が回らないくらい忙しいとき、私も一緒に働いてほしいとお願いされた。
あのときだって、私はとある企業に就職が決まっていたというのにその内定をけってValerieに来てほしいと懇願された。
冗談だよね? という私に向かって、二人はとても真剣な顔でお願いしてきたっけ。
その迫力に負けて、私はValerieに就職することになった。