独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

 もうすぐ式が始まる。

 チャペルの挙式で人前式。両親抜きの親しい友人だけを呼んだささやかな式の予定だったけど、両家の両親が揃い、急遽ヴァージンロードを歩くように促すつもりだ。

 新郎のスタンバイが整ったので、高橋さんを控室に呼びにいく。

「失礼します」

 緊張した面持ちの高橋さんの傍により、にっこりと微笑む。

「今日はお日柄もよく、最高の日ですね。さぁ、今から皆さんのもとに行きましょう」
「はい」

 彼女の手を引いて、ゆっくりとチャペルの方に歩き出す。ドレスの裾を踏まないように、彼女をエスコートしていく。
 チャペルの入り口に立っているモーニングを着た男性を見て、高橋さんは足を止めた。

「お父さん……?」
「真紀」

 高橋さんは父の姿を見た途端、顔をくしゃくしゃにして大粒の涙を零す。

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