独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

「ど……して、なんで……」
「あの男と佐々木さんが、私を連れてきてくれたんだよ」
「う、うう……」

 あの男――なんてぶっきらぼうに言っているけれど、新郎に対する態度は明らかに変化している気がした。
 涙で言葉にならない高橋さんに、彼女の父がハンカチを差し出す。

「いい人に巡り合ったんだな。お前はとても愛されているんだと感じた。あの男のことちょっとは信用してやってもいい」
「お父さん……」
「真紀、綺麗だよ」
「ごめんね、いつもわがままばかりで……。でもどうしてもこの結婚だけは譲れなかった。大好きな人と結婚式をあげたかったの」
「……うん。私こそ真紀の気持ちを考えず悪かった。ずっと子どもだと思って、真紀の意見を聞かずにきてしまった。……こんな父親を許してくれるか?」

 二人のやり取りを見て、私も思わず涙してしまった。こうして二人が分かち合えたことがとても嬉しい。


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