独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
なので、噂のことを考えると詩織を一人で行かせるなど得策ではないはずだ。
まさか山口はそれを分かっていてわざと行かせたというのか?
「どういうつもりだ。詩織を何だと思っている? 俺の大事な妻だぞ」
「承知いたしております」
「何かあったらただじゃ済まないぞ」
普段こんなふうに感情を露にして山口を叱ることなどしたことはない。それに彼女自身もこんな勝手な真似をしないというのに、一体どうしたのか。
詩織を危険な目に遭わせることが目的か?
それとも何か別の思惑があるというのか……?
理由の追及より、今は詩織のもとに急ぐことが先決だ。万が一何かあってからでは遅い。急がねば。
「すぐに車の手配をしろ。すぐにだ」
「かしこまりました」
俺はビルの車寄せに急ぎ、運転手つきの車に乗り込んで料亭へ急ぐ。