独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「悪いが急いでほしい」
「承知いたしました」
長年お願いしている運転手にそう告げると、急く気持ちを落ち着かせるようにため息をついた。
――詩織、無事でいてくれ。
アンヴィの社長が何かするとは考えにくいが、最悪の事態を想像すると頭が痛くなる。
こんなことならもっと早く俺のものにしておくべきだった。詩織に俺以外の男が触れるなど考えたくない。彼女の初めては全て俺のものだ。
独占欲に溺れた俺は、感情をうまくコントロールできない格好悪い男になってしまった。詩織の前では本当に情けない男になってしまう。
全てを投げうってでも詩織を守りたい。それくらい彼女のことが好きだ。
どうしようもなく、詩織が愛おしい。
赤坂に到着し料亭の中に入ると、急いで二人がいる部屋へ向かって勢いよく襖を開いた。
どうか無事でいてくれ、詩織……!