独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
その相手がアンヴィの社長だったなんて、なんという偶然なんだ。
「何度も何度も私を説得してくれて、こんなにも娘のためにしてくれる人がいるのだと感動しました。奥さんには感謝してもしきれません。本当にありがとうございます」
「いえいえ! そんな頭を下げないでください」
高橋さんは詩織に頭を下げる。それに対して慌てている詩織。そのやり取りが微笑ましくて思わず顔が緩んでしまう。
詩織は昔からそうだった。
相手の立場にたって物事を考えることができて、不器用ながらも一生懸命に向き合う人だ。
そんな詩織を見て好きになったことを改めて思い出して、彼女と結婚して本当によかったと誇らしく思う。
「智也さん。真紀さんの挙式、とても素敵だったんですよ。私、仕事だということを忘れて泣いてしまいました。あぁ、思い出しても泣けてきちゃいます」
「もう、佐々木さん泣かないでくださいよ~、私まで泣けてきます」
真紀さんと詩織は顔を見合わせて涙を零している。