独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
三人の食事を終えたころ、俺と詩織は退席することにした。
高橋親子はこの料亭に残り、親子水入らずの時間を過ごすとのことだった。なので、奥の部屋に宿泊用の布団が敷いてあったのかと合点がいった。
正直なところ今回の契約は、勝算のあるものではなかった。やり方を間違えれば決裂になってもおかしくないほど難しいものだった。
それでも全力で交渉しようと思っていた矢先、詩織とValerieに救われた。
まさかこんなふうになるなど予想していなかったな。
詩織と共に料亭の前に出ると、すでに車が停車しており運転手と山口が立っていた。
「社長、お疲れさまです」
「ああ」
頭を下げる山口を見て、俺はため息をつく。
この秘書はどこまで把握していたのだろう、とつくづく恐ろしくなる。