独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

 きっとこういう結末を迎えることを見越して、いろいろと根回ししていたのだろう。

「先程は取り乱して悪かった」
「いえ、社長は何も悪くありません。私の説明不足です」

 高橋社長の若い女性が好きという噂の件も、先程四人で会話しているときにその話題が出てきた。

 高橋社長は、真紀さんと喧嘩ばかりしてしまうので、どうすれば仲良くできるのか女性に意見を求めていたら、若い女性が好きという噂がたってしまったと話していた。

 妻のことを愛しているし、浮気などするつもりなど毛頭ない。
 娘と仲良くしたいから、女性に話を聞いてもらっているだけなのにこんなふうに言われるなんて悲しいと嘆いていらっしゃった。

 確かに真紀さんとのことを聞いたあとでは誤解だと納得できる内容だ。
 しかしわざわざその噂を俺に吹き込んだということは、山口がこうして俺に嫉妬させるための策略だったのだと気づく。

「そして今回の件で、奥様まで巻き込んでしまい申し訳ございませんでした」

 山口は詩織にも丁寧に頭を下げた。詩織はその姿に慌ててあたふたしている。


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