独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
よかった……。
その誤解がとけて、心底ホッとした。
「よかった……」
「詩織が心配するようなことはひとつもないから安心して」
山口さん相手だったら、全く歯が立たないと弱気になっていたから誤解で本当によかった。そもそも私がいろいろと杞憂に思って心配していたようなことはなかったのだ。
分かっているつもりでも、好きな気持ちが大きくなればなるほど心配してしまう。もっと信用しなくてはいけないと反省する。
ほっと胸を撫でおろして前を向くと、運転席に男性に見覚えがあるような気がして身を乗り出して顔を覗き込んだ。
「あの……っ、以前お会いしました……よね?」
「……え? あ、はい。そうですね」
やっぱり!
この運転手さんは一年前、私が智也さんと出会ったときに自宅まで送り届けてくれた人だ。
智也さんの顔はトキメいて緊張していたためにハッキリ覚えていなかったけれど、この運転手さんのことは覚えていた。