独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「ちょっと待って!」
「ひゃっ……」
大きな手、強い力、熱い体温。
全てに驚きながら振り返ると、肩にタオルをかけた上半身裸の――すっごくイケメンが立っていた。
目が合って時間が止まったみたいに、彼の顔に釘付けになる。
彼も私のことを何も言わずにまっすぐ見つめている。
一分一秒が永遠のように長く感じた。
「あ、の……っ」
この沈黙を破ったのは私だった。
振り絞って小さな弱々しい声を出す。
「離して……もらえませんか? 」
「ごめん。でも待って、帰らないで」
想像していたより、すごく格好よくて戸惑っている。
濡れた髪から覗く、奥二重のすっきりした瞳。意志の強そうな眼差しに見つめられて目が離せない。
っていうか長身で、小顔で、とてもスタイルがいい。
こんなに格好いい人なら、こういう結婚をしなくていいんじゃないかと思うんだけど。
そもそもなぜ私を選んだの!? 不釣り合いすぎませんか!
顔が熱い……。きっと私、顔が真っ赤だと思う。こんなところ見られるなんて恥ずかしい。