独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

 佐々木さんは、白いビジネス用のシャツとネイビーのトラウザーズを着ている。
このままジャケットを羽織って仕事に行くつもりなのだろう。

 髪も整えられており、さきほどまでの洗いざらしのナチュラルな感じではなくなっている。

 パリっとした大人の男性という雰囲気で、男ぶりが上昇して格好よさに磨きがかかっていて、それでなくてももともと美丈夫なのに、それより上回るって心臓に悪いよ。

「ごめん、驚かせてしまって」
「いえ……」
「どうぞ」

 彼が向かい側のソファに座ったので、私も遠慮しがちに腰を下ろす。

「どうも。挨拶が遅れましたが、佐々木智也です。よろしく」
「初めまして、藤崎詩織です」
「…………」

 丁寧に頭を下げて挨拶をしたのに、彼は何も言わず私のことを無表情で眺めていた。


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