独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
こんな政略結婚なのに、理想を追い求める私って、呑気っていうか、なんか抜けてるっていうか……。
自分でも変だって思うけれど、できることはやっておきたいという気持ちの方が優先されている。
「お忙しいのは重々承知しています。なので、私は役所の近くで待機していますので、ご都合のいい時間を教えてくだされば、こちらから向かいますので……」
「それなら今から行こう」
「え?」
「まだ出社前だから少しなら時間がある。行こう」
「え、ええ……っ」
ちゃんと話をする前に、佐々木さんはソファの背もたれにかけていたジャケットを持って立ち上がった。
驚いている私を見下ろし、「行くよ」と声をかけた。