独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
なんという爽やかな表情と声。
今から商談相手に会いに行くよ、みたいなくらいのノリで「行くよ」って言ったけれど、今日会ったばかりの私との婚約届を提出しにいくって分かってます!?
佐々木さんは、私と結婚することに抵抗がないんですか?
私の経歴などは知っていると思うけど、こうして顔を合わせて話をするのは初めてなんだよ?
本当にいいの?
後悔しない?
こんなに格好いい人なのに、彼女とか本当にいないの?
格好いい、ステキなどという当たり前のような語彙力のない表現しかできない自分が悲しい。
でもそうなんだから、そうしかいいようがない。
颯爽と歩く佐々木さんの後についてエレベーターに乗り、地下の駐車場に到着した。
そして近くに停車していた高級車の助手席の扉を開けてくれた。
「どうぞ」
「……どうも」
BMWだよね、これ……。
わぁぁ、私、初めて乗る……。