独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

 ネクタイを外しながら歩く智也さん。私みたいに取り乱していないところを見て、大人の余裕を感じる。
 智也さんは初めてじゃないもんね。私みたいに誰とも付き合ったことないなんてないだろうし……。
 こんなに素敵な人だったら、彼女の一人や二人いるだろうに。でも忙しいから恋愛しているヒマがないって聞いている。
 だから私と夫婦ごっこをしようってことなんだよね。それなのにとんだ無知の女が来てしまってガッカリしているかも。

 申し訳ないけど、今さら他で練習してくるわけにもいかないし仕方ない。

……こればっかりは経験していくしかないのだ。



 そんなこんなで、夫婦生活がスタートした。
 おかえりなさいのキスでやり切った感を味わっていたのだけど、それ以上に大変な状況が訪れた。

「じゃあ、寝ようか」

 夕食を終え、お風呂を済ませたあと、リビングでくつろいでいる智也さんにお茶を出して、食後の後片付けと明日の朝食の下ごしらえをしていたら声をかけられた。


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