独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「佐々木さ……」
おかえりなさい、と条件反射的に言おうとした瞬間、私の唇は彼の唇に塞がれた。
あ……っ!
これって、キス――
そう思ったときには、唇は触れ合っていて、驚きのあまり目を見開いていた。
「詩織も佐々木だからね。俺のことは、智也って呼ぶように」
「は……はい……」
唇が離れたあと、にっこりと優しい笑顔を向けられて、そう諭された。私はこくこくと頷いて奥の部屋へ歩いていく彼の背中を見送る。
こ、腰が砕けそう。イケメンオーラにやられて、私は瀕死の状態に陥っている。
キス、しちゃった。
わぁぁぁーっと叫び出したいくらいドキドキが止まらない。
思わず唇の前に手をあててファーストキスを思い返して、またドキドキを繰り返す。
一瞬だったからよく分からないけど、柔らかかったような気がする……。ああ、もうどうしよう、興奮が収まらない。
このまま廊下に座り込んでしまいそうなところを必死で堪えながら、佐々木さん……もとい智也さんについていった。