朱莉さんの不可解な一週間
それでも、他にも考える事はあるっていうのは多少なり気が紛れるもので、重い書籍を持ちながら医学書の棚で次の資料の表題をメールで確認してる間は、先生の事を考えなくて済んだ。


頭の隅に重くて黒い感じの(かたまり)があるって感覚はあるけど、それについて深く考える事もない。


見て見ぬふりが――実際は気付いてて気付いてない振りだけど――出来るなら、このまま会社に居座って仕事を手伝うのもいいかもって思ってたくらいだった。


日曜の本屋は人が多い。


特にここの本屋は、日曜になると子供を集めて“絵本を読む会”があるからやけに賑わってる。


店内の隅にセットされた“絵本を読む会”の場所には、今日最後の朗読が始まったらしく、
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