目覚めたら、社長と結婚してました
 髪は伯母が腰まであるのに対し、母は面倒だといつも肩につかないくらいの長さだ。それがふたりの大きな違いで、顔立ちも声も母とよく似ている。電話だと素で間違えるくらい。

「怜二さんが連絡くれてね。まったく寿命が縮まったわよ。結婚したばかりで、いきなり妻が入院なんて。怜二さんにも申し訳ないわ」

 伯母は持ってきた荷物から着替えや洗面用具などを取りだしつつ小言を放つ。でも、本当に心配をかけたのがわかるから、私は素直に聞き入れた。

 髪はゆるくヘアクリップで留め、淡いライトグリーンのセーターにブラウンのスカートという出で立ちは伯母の好きそうなコーディネートだ。見慣れた姿に安心する。ただ、冬服なのがやはり不思議だ。

「伯母さん」

「なに? 佳菜子(かなこ)にも連絡を入れた方がいい?」

 佳菜子は母の名前だ。私は静かに首を振る。

「そこまで大袈裟にすることないよ。あの、私としゃ……っ、その、怜二さんってどうして結婚したの?」

 私の問いかけに伯母は、怪訝な顔をした。

「どうしたの、急に?」

 本当のことを話すかどうか迷って、私はしばし言いよどむ。

「えっと、ちょっと頭を打ったからか記憶が混乱してて」

 伯母の瞳が大きく見開かれ、不安の色が広がった。病室にあれこれ持ってきたものをセットしていた手を止める。

「ちょっと、あなた本当に平気なの? 怜二さんとのことは、私も本当に驚いたわよ。どうして、なんて私が聞きたいくらい。だって、柚花からお付き合いしている人がいるなんて今まで聞いたこともなかったのに、いきなり結婚するって報告に来るものだから」

「そう、なんだ」
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