目覚めたら、社長と結婚してました
あ、こんな当てつけみたいな言い方はよくない。すぐに思い直し、最後は消え入りそうな声になった。
それにしても、はっきり言われたわけではないのになぜか私は彼の好みではないと、刷り込みレベルで思い込んでいる。
怜二さんは大きく息を吐いた。
「肉を付けた方がいいって言うのは、好みとか柚花に不満があるとか、そういう話じゃない。真面目な話、さっきも思ったが抱いたときに不安になるんだ。壊しそうで」
神妙な面持ちと声で告げる彼に対し、私は赤面してしまった。彼の言葉を額面通りに受け取ってはいけない。
違う、そういうことじゃない。『さっき』って言ったから彼が言ったのは抱きしめるって意味で……。
雑念を振り払って、恥ずかしさを飛ばすようにわざとらしく返す。
「そ、そんな簡単に壊れませんよ。頑丈なのが取り柄ですから。これでも階段から落ちて骨折のひとつもしなかった女ですよ」
「それは頑丈というより運の問題だろ」
私はわざとらしくカップに口をつけて気を紛らわす。それから他愛ない話を交わし、私たちは席を立った。本命だったパン屋でお目当てのパンたちを買うのも忘れない。
自分たちの明日の朝食用のほか、伯母さんへのお土産の分としても購入していく。それ以外にも目移りしてしまい、ついあれもこれもとトングを伸ばしそうになる。
「食べられる分だけにしとけ。あまり買いすぎるなよ」
子どもに言い聞かせるように怜二さんのストップが入った。
それにしても、はっきり言われたわけではないのになぜか私は彼の好みではないと、刷り込みレベルで思い込んでいる。
怜二さんは大きく息を吐いた。
「肉を付けた方がいいって言うのは、好みとか柚花に不満があるとか、そういう話じゃない。真面目な話、さっきも思ったが抱いたときに不安になるんだ。壊しそうで」
神妙な面持ちと声で告げる彼に対し、私は赤面してしまった。彼の言葉を額面通りに受け取ってはいけない。
違う、そういうことじゃない。『さっき』って言ったから彼が言ったのは抱きしめるって意味で……。
雑念を振り払って、恥ずかしさを飛ばすようにわざとらしく返す。
「そ、そんな簡単に壊れませんよ。頑丈なのが取り柄ですから。これでも階段から落ちて骨折のひとつもしなかった女ですよ」
「それは頑丈というより運の問題だろ」
私はわざとらしくカップに口をつけて気を紛らわす。それから他愛ない話を交わし、私たちは席を立った。本命だったパン屋でお目当てのパンたちを買うのも忘れない。
自分たちの明日の朝食用のほか、伯母さんへのお土産の分としても購入していく。それ以外にも目移りしてしまい、ついあれもこれもとトングを伸ばしそうになる。
「食べられる分だけにしとけ。あまり買いすぎるなよ」
子どもに言い聞かせるように怜二さんのストップが入った。