Some Day ~夢に向かって~
学校に着くと、徹くんは


「ゴ-さんに挨拶して来るから、先に教室行っててくれ。」


と言い残して、職員室に向かった。


教室に入った私が1人だったので、心配した沖田くん達が、近づいて来たけど、私は事情を説明して、なるべくいつも通りに、徹くんと接して欲しいとお願いした。みんなは頷いてくれたけど、余計なお節介だったかな?


結局、徹くんが教室に入って来たのは先生とほぼ同時。結構長い時間、先生と話してたことになる。


「どうしたの?」


「いや、いろいろ今後のことを話したり、相談したりしてたら、意外と長引いちゃって。それより、今日、学校終わった後、時間大丈夫?」


「うん。」


「じゃ、ちょっと待っててくれよ。昼休みに監督に呼ばれちゃったから、顔出してくる。大した時間じゃないだろうから、その後、メシ食いに行こう。」


「うん。でも今日は割り勘にしよ。」


「バカ、久々のデートなのに、俺に恥かかせる気かよ。それに今日は悠の合格祝いでもあるんだから。」


なんてコソコソと話していたら


「おい、そこのバカップル。久し振りに揃ったからって、自分達の世界に浸ってるんじゃない。SHR始まってるんだぞ。」


って、声が聞こえて来た。ビックリして見ると、山上先生が厳しい声とは裏腹のニヤニヤ顔で、こっちを見てる。


「は、はい・・・。」


慌てて周囲を見ると、これまたニヤニヤ顔の視線が多数、こちらに向けられていて・・・、私達は思わず下を向く。


「よし、始めるぞ。」


先生の声で、みんなはまた前を向くけど


「教師自ら、生徒をからかうって、どういうことだよ。」


ぶつくさ呟く徹くんの言葉に、自分達のおしゃべりを棚に上げて、私は激しく同意してしまった。
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