Some Day ~夢に向かって~
先輩は現れない。


「先輩、どうしたんだろ?」


「わからない、メ-ル送っても、返事がないんだ。」


休み時間、私は沖田くんに尋ねるけど、彼も首を振るばかりだ。


「顔出せないんじゃない?ちっさ。」


「白鳥さんはそんな人じゃねぇ。」


呆れたように言う由夏に、塚原くんが怒気を含んだ表情で言い返す。


「さぁ、どうだか。」


「由夏、お前!」


「何よ!」


「2人ともよせよ。なぁ君たち、昨日、白鳥さんと帰ったんだろ。何か知らない?」


にらみ合う由夏と塚原くんに割って入ると、沖田くんは取り巻き女子達に声を掛ける。


「知らないよ。だってあの後、すぐ先輩を追いかけたけど、先輩振り向きもしないで、1人で帰っちゃったんだもん。」


彼女達も首を振るばかりだったけど、そこへ別の取り巻き女子が教室に飛び込んで来た。


「わかったよ、先輩、今日熱出してお休みだって。先生が教えてくれた。」


「昨日の今日で熱発?ミエミエ~。」


「先輩が仮病使ったって言うのか?」


「そうとしか考えられないじゃない、聡志。」


「ふざけんな!」


嘲るような口調の由夏に、再び詰め寄ろうとする塚原くん。


「おい、いい加減にしろって。とにかく、白鳥さんに直接連絡つかない以上、確かめる方法は1つしかない。」


2人を制すると、沖田くんは教室を飛び出していく。


(先輩・・・。)


由夏の言うこともわかる、でも私も先輩がそんな人じゃないって、信じたい。やっぱり・・・。
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