Some Day ~夢に向かって~
「はぁ。」


「またため息ついてる。」


その声に前を見ると、お母さんの呆れ顔が・・・。


「何があったか知らないけど、昨日帰って来てから、ずっとため息のつきっぱなしじゃない。」


「だって・・・。」


「昔から言うでしょ、ため息つく度に幸せが逃げるって。」


もう十分逃げてるよ、こんな不貞腐れたセリフが、喉まで出かかるけど、なんとか飲み込んで、我慢する。


「ご馳走さまでした。」


今日は学校はお休み。私は少し遅めの朝食を摂り終わると、さっさと自分の部屋に引き上げる。


このところ、情緒不安定の娘を心配してくれてるお母さんには申し訳ないと思うんだけど、昨日の顛末を話す気には、どうしてもならなかった。


それにしても、あの雨は何だったの?「水を差される」という言葉があるけど、まさか実地で勉強させてもらえるとは思わなかった。天気予報、雨降るなんて言ってた?


カ-テンを開けて、窓の外を見れば、まばゆいばかりの光が目に入って来る。


「はぁ。」


思わずまた出てしまうため息、私はカ-テンを思いっきり閉めると、そのままベッドにダイブする。


(私って、そんなに普段の行いが悪いのかなぁ・・・。)


あんなにいい雰囲気だったのに、手だって初めてつないだのに、このままなかったことになっちゃうのかな・・・嫌だよ、そんなの!


今はそんな場合じゃないって神様に言われたのかな?神様って、やっぱりいるんだねって、昨日みどりさんは言ってたけど、こんな意地悪な神様なら、いなくてもいいもん!


昨日はあれから、結局先輩とはほとんど言葉を交わせなかった。帰ってから電話しようかと思ったけど、私からするのはなんとなく気が引けたし、先輩からもかかっては来なかった。


そして今日、今のところ、やっぱり電話もメ-ルもない。でも今日の夜は予備校があるから、絶対会える。


先輩、まさか何も言ってくれないなんてことないよね?


「聞いて欲しいことがある」って言ったのは先輩なんだからね。その言葉をなかったことになんて、私もう出来ないから・・・。
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