地下室のフィアンセ ~秘密を愛しすぎた獣~

「ああ、知っていたよ。君のことはなんでも。

僕は君の優しさにふれて救われた人間の一人さ。

白衣を着た君はとても輝いている。僕はそんな君が誇りだったよ」


男は今までにないほど素敵な笑顔を浮かべた。


「それならお願い。私を自由にして。

私ずっと気がかりな患者がいるの。

このまま私がここにいたらあの患者は救われないかもしれないの。だから、お願い…」


女は切に男の腕を掴んで言った。


「リサ………」


そんな女の言葉に男は目に涙を浮かべた。


「すまない、本当にすまない。だけど僕は、君のことが大好きなんだ、心から、心から…………」


そう言い残して男はまたどこかえいってしまった。


「ピエール…………?」


その時、女はなんとなく男が可愛そうに思えた。
< 16 / 44 >

この作品をシェア

pagetop