幼馴染みと、恋とか愛とか
「そんなに甘いもんばっかり飲んだり食べたりしてると、子供の頃みたいに虫歯になるぞ」


幼い頃、歯痛で苦しんで泣いただろ…と言われて、かぁっと顔が熱くなった。


「古い記憶持ち出さないでよ!」


カップをぎゅっと握ったまま背中を向けるとデスクに着いてる紫苑はキィ…と椅子を回転させ__


「石ころに躓いて転んだり、犬に吠えたてられたりして、小さい頃は結構泣き虫だったよな」


苦笑する声にますます顔の温度が上がる。
同時に苦々しい気持ちも湧いてきて、くるっと紫苑の方に振り返った。


「そう言う紫苑だって泣くことあったじゃない。運動会の徒競走で一位になれなかった時とか友達とケンカして負けた時とか」


負けず嫌いだったことを思い出して言うと、そんなこともあったな…と余裕綽々な感じだ。


(くっそー、私の方が子供だった分、部が悪い…)


相手にしないでおこうと思ったんだが、紫苑は更に何かを思い出したらしく。


「そう言えば萌音が失恋して泣いてたのを覚えてるぞ。相手は確か中学時代の同級生で、バレンタインに告ろうとしてたのに既に彼女がいると前振りで分かって…」


< 70 / 221 >

この作品をシェア

pagetop