キネウム王子とイーディス姫の溢れ出るパトス
彼女の髪をかき上げた

何かが僕の指先をとめる

ゆっくりと髪から指を引き抜いてみたが

何もついていない

何度も何度も

僕はそれを触った

髪をかき分け

確認した

小さな穴が開いている

気付かなかった

僕の足元に

ウサ耳カチューシャが落ちていた

「アンプレクテンス・・・」

いつも眠そうにしていたが

妙に僕の妄想に話を合わせてくれた

そんな彼のチャームポイントと同じだ

彼は「可愛いでしょう?」と

会う度に僕に聞いてきた

彼女が付けたなら

可愛いんだろうな

僕はそう思い

迷いも無くカチューシャを拾い上げた
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