キネウム王子とイーディス姫の溢れ出るパトス

真性のギーゼラと仮性の早芝

彼らは

正常だったんだ

僕は・・・今何をしている

捨てられ他人が使用した愛玩人形を

綺麗に拭き愛でていたのか

僕は・・・

頭が真っ白になった

ついさっきまで

アリウムの王子だった自分が

ただの変質者に成り下がっている

僕の体は異常に振るえ

腕の中に居たそれを地べたにはね退けた

物言わぬそれを僕は

ただ見つめる事しか出来なかった

冷たいはずの風が僕の頬をなで

音が消えた

僕は何の為にここに居る

そうだ

領地内で会ったあの子に

会いに行く為だ
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