溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
履歴書すら遥に見せていない。

「まあ、楓さんは遥さんの婚約者ですしね」

翔太君の言葉に目が点になる。

「え?それ誰が言ったの?」

聞かなくても犯人は決まっているのだが、聞かずにはいられなかった。

「もちろん遥さんですよ。成瀬一族だけでなく、うちの社員全員もそういう認識です。先月末に俺の婚約者が来るって遥さんがそれはそれは楽しそうに言ってて……」

楽しそうに……?

それ以降は、翔太君の言葉が入って来なかった。

遥の奴、何大ボラ吹いてんのよ!

可憐さんが結婚話をしてきたのも、あいつの発言があったからなのね。

沸々と怒りが込み上げてくる。

「楓さん、眉間にシワ寄ってますよ。大丈夫ですか?」

翔太君はニコニコ顔で言う。

その顔、全然心配なんかしてないよね?

むしろ、楽しんでません?

「大丈夫。多分、『婚約者』ってのは遥……遥さんの冗談だと思うよ」
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