溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「胃が膨れてる。まあまあ食べたか」

遥は我が物顔で触ってくる。

公衆の面前で何をする〜!

顔の血が一気に上がり、うつむきながら彼の手をつねって抗議した。

「は、は、遥!セクハラ」

「これは医学的な見地から……⁉︎」

「いつ医者になったのよ!」

遥の言い訳にすかさず突っ込む。

「お前が小一の時、お医者さんごっこに付き合わされたけど」

彼はしれっとした顔でとぼけた。

「もう!昔の話なんて持ち出さないでよ。恥ずかしい」

火照った頬を手で押さえながら、遥を上目遣いに睨みつけたが、急に可憐さんの声が聞こえてハッとする。

「仲がいいわね。楓ちゃんといると、あんた目の輝きが違う」

可憐さんが遥に向かって微笑むと、彼は楽しげにスーッと目を細めた。

「そうかな?」

「そうよ。私はお邪魔のようだから帰るわ。また明日ね、楓ちゃん」
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