溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
『そう思うならイチイチ聞くなよ。どうせ俺に聞かなくても親父に送るつもりだったんだろう?親父は楓の情報がもっと欲しいはずだ』

スーッと目を細めて翔太を追及すると、こいつはあっさりと認めた。

『まあ、そうですね。おじさんにどうしてもと頼まれまして。それにしても、本当におじさんと仲直りするつもりなんですね』

父とはずっと疎遠だった。

父は現職の国会議員で財務大臣。

俺が親父の跡を継ぐのを拒んだからだ。

政治家なんて俺の柄じゃないし、弟もいる。

だが、俺が起業すると父は激昂し、俺は大学生の時に家を出た。

父と顔を合わせるのは祖父の誕生日の年一回だけ。それは、四月二十八日。

いつもは祖父に挨拶だけして帰るのだが、今年は違った。

『楓のことがあったからな。今までのように冷戦状態というわけにはいかない』
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