溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
痛々しくてずっと正視は出来なかった。

「遥、撃たれたところは大丈夫なの?」

彼が心配で傷の痛みを確認する。

「少しかすっただけだ。心配するな」

私の頰を撫でて笑う遥。

「それよりお前も膝小僧擦りむいてるじゃないか。痛くないか?」

遥の傷に比べたら、こんなの痛いうちに入らない。

「こんなの怪我じゃないよ」

「顔もすすだらけ。せっかく正装したのに俺達ボロボロだな」

「本当だね」

彼が私を抱き寄せると、ふふっと笑い合った。

それから近くの米軍基地内にある病院で手当てをしてもらうと、遥がアメリカ政府の高官と今回の事件について話をした。

多分、成瀬家の力があったから、私達は今こうして生きているのだろう。

遥とその高官が話をしているのを聞いた限りでは、どうやら大統領と総理は無事だったらしい。でも、死傷者が結構いるとか。
< 188 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop