溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
口に出してはいないが、父親の裏切りの他に、元彼に浮気されたことも大きく影響しているのだろう。

それに、俺との未来は考えていないらしい。

いや、例え考えているにしても、修也の前では言えないか。

そんなことを考えていたら、修也がふざけて彼女をからかった。

「ロボットの赤ちゃんになるかもしれないよ」

「もうお兄ちゃんたら!お兄ちゃんは、ちゃんと結婚して子供作ってよね」

楓は軽くパシッと修也の背中を叩いた。

「楓がお嫁に行ったら考えるよ」

修也は有無を言わせぬ笑顔で言う。

どうしてもそこは譲れないらしい。

まあ、俺が嫁にもらうけどな。

ふたりを見ながら心の中で呟く。

「それじゃあ、お兄ちゃん一生結婚出来ないよ」

ブツブツ文句を言う楓。

修也も楓も結構頑固だし、このままでは堂々巡りだ。

「そろそろ乾杯しないか?俺、喉が渇いた」
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