溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
ふたりの会話に割って入り、そう提案すれば楓が安堵した顔で乗ってきて、ジンジャーエールの入ったグラスを手に取る。

「そうだった。乾杯がまだだったね。じゃあ、お兄ちゃんの一時帰国を祝してかんぱーい!」

強引に乾杯の音頭を取ると、修也と俺のビールジョッキに自分のグラスをコツンと当てた。

俺と修也はやれやれと言った顔でアイコンタクトすると、ジョッキを口に運んだ。

「そう言えば、遥の腕の怪我の具合はいいのか?」

修也は思い出したように言って、俺の左腕に目を向けた。

彼の帰国前に事件で負傷したことは電話で話していた。

「まだ痛みはあるが、日常生活にはそんなに支障はない。楓が包帯変えるの手伝ってくれてるし、助かってるよ」

「ふーん。楓がやるとぐちゃぐちゃになりそうだね」

修也が横目でチラリと彼女を見てクスクス笑う。
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