溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「子守唄でも歌ってやろうか?」

ニヤリとしてからかえば、ムスッとした声が返ってきた。

「余計寝れなくなる」

「十秒以内に寝なければ、キスするけど?十、九、八、七……」

俺がカウントすると、楓は急に黙り込む。

予想通りの反応。

「普通の女は泣いて喜ぶんだが、お前は嫌なんだな」

嫌味ったらしく言えば、彼女はボソッと反論した。

「自分がモテるからって自惚れ過ぎよ」

「寝ないってことは、やっぱりキスして欲しいんだ?」

俺の指摘に楓はハッと息を飲む。

「大人しく寝ない子にはお仕置きだ」

布団を剥がして顔を近づけると、ギュッと目を瞑ったままの彼女の額にチュッと口付ける。

「おやすみ」

そう声をかけても、すぐに楓が寝ないのはわかっていた。

静かになったが、彼女は俺を警戒して起きている。

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