溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
遥はいつもとあまり変わらないし、とりあえず仕事と住むところの心配がなくなって、精神的にかなり楽になった気がする。

結果的に遥が正しかったって認めるのは悔しいけどね。

「お前やる気ゼロだな」

「だって、一匹も釣れないんだもん。戦意喪失」

「じゃあ、俺と賭けをしようか?十匹釣ったら、お前にコーラを奢ってやる」

『コーラ』と聞いてちょっと目が覚めた。

昨日ピザ食べた時にすごく飲みたかったんだよね。

遥が麦茶かお水しか飲ませてくれなくてさあ。

「でも十匹なんて無理だよ」

「お前には特別なルアーをつけてやるよ」

ニヤリとして遥はルアーがたくさん入ったボックスの中から蝶みたいな羽根のついたルアーを取り出し、自分の釣り竿のルアーと交換する。

「その蝶みたいなので釣れるの?」

半信半疑私の目の前で、彼は不敵に笑う。

「まあ、見てろ」
< 72 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop