溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
だが、一度女と思ってしまったら、もう妹のようには思えない。

彼女と過ごす時間が増えるほど、愛しさが増していく。

本人には悪いが、彼女が入院してから、単調だった毎日が綺麗に色づいて見えてきた。

これが……恋なのだろうか?

女に特別な感情を抱いたことがないからわからない。

女なんて欲望のはけ口程度に考えていた。

楓が知ったら怒りそうだが。

だが、彼女は俺にとって都合のいい道具なんかじゃない。

だから、からかいながらも甘く接してしまう。

スッと立ち上がると、近くの自販機に小銭を入れ、コーラのボタンを押す。

ガラガラっと音を立てて出てきたそのペットボトルを掴み、楓に手渡した。

「ほら」

「え?でも、十匹釣れなかったよ」

彼女はコーラと俺を交互に見て驚いた顔をする。

「頑張ったご褒美だよ」
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