溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「夜中に座敷童が走り回る音が聞こえたり、枕元に折り鶴が置かれていたり……。座敷童が現れた部屋に宿泊した者にはいろいろといいことが起こるらしいぞ」

俺の説明に彼女は怯えた。

「む、昔話だよね?」

つっかえながら俺に確認してくる楓に向かって、首を横に振り真顔で否定。

「いや、今も起こっているそうだ」

普通なら冗談と思うのに、彼女は本気で信じてしまった。

「う……そ」

呆然と呟き、楓はフリーズする。

「悪霊じゃないし、いいんじゃないか。縁起物だぞ」

俺の声にハッと我に返った様子で、彼女は少しびくつきながら言った。

「そう言う問題じゃないよ」

「お前、怖いのか?」

わざと挑発すれば、彼女は俺の予想通りの言葉を返して怒る。

「怖くありません!もう寝る!」
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