溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
襖を開け、楓は隣の部屋に布団を移動させる。

「じゃあ、おやすみ!」

バタンと襖を閉め、彼女は隣の部屋で就寝。

やれやれ。

これで、俺とどうこうなるって妄想はしないだろう。

電気を消して、俺も布団に入ると、今日スマホで撮った写真を見た。

魚を釣ってご満悦の楓。

結構よく撮れてる。

修也にもメールで送っておくか。

メールする写真を選別していたら、襖の向こうから楓が俺に呼びかけた。

「ねえ、遥?今変な物音しなかった?」

寝たんじゃなかったのか?

「俺は聞こえなかった。庭の木が風で揺れたんじゃないか。いいから寝ろよ」

それから、数十分は静かだったが、また楓が話しかけてきた。

「は、遥〜!子供が走り回る音が聞こえたんだけど」

その声はおどおどしている。

「上の階の人じゃないのか?」
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