わたしと専務のナイショの話
「……でも、迎えに行きたいんだ、の」

 ……の?

 迎えに行きたいんだの?

 何処の地方の方言だ、と思っていると、京平はかなり迷ったあとで、

「……のぞみ」
と言ってきた。

 そして、自分で慌てたように、
「早く降りろっ」
となにか爆弾でも仕掛けてあるのかという勢いで言ってくる。

「は、はいっ」
とのぞみが慌てて降りると、京平は発進させようとする。

 ありがとうございましたっ、と急いで頭を下げ、自分の車に向かったが、誰かが後をつけてくる。

 その勢いにビビリながら、足を緩めず振り返ると、早足に京平が追いかけてきていた。

 ひーっ!
 何故!?

「帰ったんじゃなかったんですかっ」
と何度も振り返りながら、叫ぶと、

「いや、よく考えたら、車に乗るまで、危ないじゃないかっ」
とよく響く地下駐車場で京平は叫び返してくる。

 車に乗り込もうとしていたおじさんたちが、何事だ? という顔でこちらを見ていた。

 今、周囲の目には貴方が危ない人ですっ、と思いながらも、京平に追われるようにして、のぞみは慌てて自分の車に乗り込んだ。
< 133 / 472 >

この作品をシェア

pagetop