わたしと専務のナイショの話
 


 発進した当初は、
「俺は今日ほど車は凶器という言葉を実感したことはない」
と言っていた京平だったが、目的地近くの交差点まで来て、止まった頃には、少し感心したように、

「上手いじゃないか」
と言ってきた。

「あれだけ運転しただけでわかるんですか?」
とのぞみが訊くと、

「いや、走りがスムーズで、横に乗っていて、ストレスがない」
と京平は言ってくる。

「ありがとうございます」
と言うと、

「これでなんで卒業に時間がかかったんだ?」
と逆に不思議に思ったらしく、訊いてきた。

「それが、マニュアルで免許取ったんですが。
 どうしても、交差点をサードで曲がってしまって」

 スピードが落とせなかったんです、と言うと、

「やはり、基本、不器用なんだな……」

 最初からオートマで取れ、と言われてしまった。
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