わたしと専務のナイショの話
 



 酔った弾みなのか。

 弾みだったのか。

 じゃあ、まあ、いいか。

 いやいや、よくないぞ、と思いながら、次の日、京平は専務室でウロウロと歩き回っていた。

 なんせ、相手は御堂だからな。

 女なら、ああいうタイプにキスとかされたら、ふらふらっと行ってしまうんじゃないのか?

 そんなことを考えていると、ノックの音がして、
「失礼します」
と祐人が入ってきた。

「御堂。
 お前……」

「すみませんでした」
と先に祐人は謝ってくる。

「さっき、坂下から聞きました。
 この度はいろいろとご迷惑をおかけしまして」
 
 ……御堂。
 お前にとって、のぞみとのキスは、そんな取ってつけたような謝罪の言葉ですまされる程度のものなのか?

 ホッとするような。

 俺はあれだけ迷って、のぞみにキスしたのに、と思うと、ちょっと腹立つような。
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